りかpoke

既存の構築にワンアイディアを吹き込みたい

【コラム】「構築する」ということ【ポケモン剣盾 】

本記事は1から構築を組むにはどうすればいいか、という視点で自分の思考を言語化し似たような構築の仕方する人が増えたらいいなという気持ちで書きました。(構築相談できるので)

【はじめに】

ポケモン対戦の本質は情報収集とそこからの考察である。

その本質が濃く出たのが剣盾S10であったように思う。

このシーズン、使い慣れたポケモンをいきなり使用不可にされた我々にとってはポケモン実況者が紹介するポケモンの型を知り、とっかかりにするのが一番の環境理解への近道だった。

なんせストッパー枠・切り返し枠が軒並みいなくなり、ゴリ押しアタッカーが環境トップに君臨する環境になってしまったのだ。どうしたらいいかわからなくなった時の情報源としてポケモン対戦実況はまさに救いの手だったと言えよう。

筆者もたくさんの実況者があれこれ紹介するのを再生数0の駆け出し実況者から有名実況者まで確認し、対戦に備える日々だった。(あまりにチェックするものが多かったので要点だけ見てシークバーを使ってしまったことを懺悔しておく)

どの型が対戦環境で流行りそうかを確認して、それに対する強い動きを対戦前に想定することを繰り返していたのがこのシーズンだった。 

【構築作成の始点】

本題に入るが、ポケモンは6体からなるパーティを作り見せ合いを経て3体選出して勝敗を決めるゲームである。 

「主軸を決めてそれを元に綺麗な相性補完をとる」のが構築の作り方と紹介しているネットページや動画は多い。

しかし、このような構築ではイマイチ勝てない。

それもそのはずで、同じ実力同士の人間が同じような構築で対戦した場合、勝率は5割にしかならない。出し抜くための何かがどうしても必要なのである。

どうすればいいのだろうか。

環境に刺さっている動きを元に構築を作る

これが構築作成の基本であると筆者は考えている。上位の構築記事を見ても対戦中にしたい動きのシュミレーションから構築を作っていることは明らかであるし、上位ランカーも以下の動画で述べているので、この考えが正しい確信がある。

www.youtube.com

S10で言えば、パッチラゴンが環境の中心だからそれに対する地面ポケモンを採用したいけど強そうな型は実況者の○○さんが紹介したこの型だから採用しよう、さらに相手の地面ポケモン対策には△△さんの紹介していたこの型を採用しようというような対戦中の動きを想定していない強い個体を採用するだけの構築の組み方で対戦中に強い動きができるだろうか。

どんな構築種であれ、ポケモン同士が点ではなく線の関係にならないとその強さを発揮はできないと筆者は考える。

【強い動きとは】 

説明もなく「強い動き」と繰り返してきたが、わかりやすく言えば「構築段階・見せ合い段階で定めた勝ち筋に関与する動き」である。

積んで突破する・受け回して完封する・対面を全て打ち勝つ等、これをきちんと定めていないと勝ちに直結しにくい。

(逆に弱い動きを示すならパッチラゴンがいるから一貫性を消すためにとりあえず地面枠とフェアリー枠を出そうというような相手の構築に誘導された動きである)

どうやって勝つかが明確な構築は動かし方が簡単であるし、構築の種類(分身バトン・猫の手胞子等)・ポケモンの種類・技の種類が減った8世代では、対戦が始まってからの動きの柔軟性よりも事前の勝ち筋を通すやり方の方が勝ちやすい環境なので尚更だ。

また、選出した3体がきちんと勝ち筋を辿るように意識するだけで、勝ち筋・負け筋の整理がしやすくなり、似たようなポケモンを採用している別の対戦にも生かせるので思考負担が少なくて済む。

 そもそもダイマックスというシステム自体、積みを行いながら高火力で殴るという強い行動である。一見、対戦中いつダイマックスを切るかが戦略性・読み合いを向上させていると思われがちだが、一番ダイマックスを強く扱うためには構築段階・見せ合い段階でのシュミレーションを元に適切なタイミングで切るのが一番強い使い方になる。

ここまでで対戦中強い動きをするためにきちんとした事前計画を元に構築を作りたい、というのがわかっていただければと思う。

 【分析と採用】

では、どのように強い動きを探していけばいいのだろうか。

環境調査のために実際に潜ってみたり、生放送や動画をチェックして環境に多い並びを把握しポケモン一覧や技一覧を見ながら考えるのが王道の手であるが、実はもう1通りある。似た環境だった過去の実例から考える手である。1つ実例を見てみる。

f:id:shuk_poke:20201009185619p:plainf:id:shuk_poke:20201009185628p:plainf:id:shuk_poke:20201009185700p:plain  (電妖・地飛・超鋼)

f:id:shuk_poke:20201009185411p:plainPokémon-Icon 373m1 3DS.pngPokémon-Icon 681.png   (地・飛竜・霊鋼)

(8世代から始めた人はすみません)

7世代にあったコケコランドグロス・カバマンダガルドという並びである。いずれも高種族値・良耐性でサイクルを回す形でかなり強かったのだが弱点が存在した。

積んだ(メガ)ギャラドスが止めにくい、想定していない受け駒のいる受けループが突破できない点である。

実際は残りの3体でその弱点を補完したり、弱点を克服するために型自体を変化させていったというのが現実の環境では見られたのだが、耐性サイクルは積みで突破する想定しないサイクルを形成することで勝てるという知見が分析することで得られる。

剣盾S10も電・地・水の3すくみ環境と言われ、耐性の壁を突破方法を考える環境と判断しての考察が有効であり、上記のいずれかの手段を選択したプレイヤーが上位に上がってきたのではないかと考えている。

今後も環境は移り変わるが環境序盤の分析で過去のシーズンと似たような印象を受けたとき、該当シーズンの上位記事を分析し「似たような攻め方で勝ちに行く」かさらに「その対策に走る」ことで上位を狙っていけるのではないかと考えている。

分析の際には、参考にする構築の基本選出と補完枠をしっかりと分けて何に対応するために補完枠を組んだのか理解して、基本選出の弱点を見極めたい。
【地雷型ポケモン〜新構築の開拓】

最後に新しい型のポケモン(地雷ポケモン)ひいては新構築の開拓について書きたいと思う。地雷ポケモンは誰しも一回は憧れを持つものだと思うが、環境にいないポケモンを採用したり、採用されない技やアイテムを持ったポケモンを作ればいいというわけではない。次の3つの思考のいずれかをベースに作られるべきだと筆者は考えている。

・①技スペース圧縮

・②採用枠圧縮

・③新処理ルートの開拓

7世代の実例ばかりになって剣盾からの方には申し訳ないが具体例を見ていこう。前知識として「どくどく」の技マシンが剣盾以前には存在し、誰からでもどくどくが飛んで来る可能性があったことを確認願いたい。

①技スペースの圧縮の例

(引用元:https://www.asamipoke.com/entry/2018/09/05/164345

従来

エアームドゴツゴツメットHB252

ドリルくちばし/どくどく/ちょうはつ/はねやすめ(毒挑発切って鉄壁の場合も)

圧縮

エアームドゴツゴツメットH252A44B212

ブレイブバード/どくどく/はねやすめ/選択(鉄壁・ステロ・吹き飛ばしなど)

 

従来は身代わり竜舞ボーマンダに対して攻撃技+挑発で毒を入れる処理が常識だったのをA振りによって身代わりを壊せるようにし、挑発を抜くことに成功した形である。技1つ分のスペース確保によって取れる立ち回り幅の拡大は大きく、調整や別の技の採用によって従来の型から改善できないかは開発の大きなヒントになる。

ダイマックス環境においては攻撃技=積み技となることが多いので、アタッカーにおける技圧縮は簡単に行える環境である。両刀アタッカーを初め、これからも開発されていくであろうので、注目を浴びるなら受け駒を新規開拓するのが狙い目である。

②採用枠圧縮の例

(引用元:https://www.asamipoke.com/entry/2018/05/15/185713

-

従来

ラッキー@しんかのきせき 自然回復

ちきゅうなげ/でんじは/ステルスロック/たまごうみ

圧縮

ラッキー@しんかのきせき 自然回復

ちきゅうなげ/でんじは/ステルスロック/ねむる

現環境のギルガルドは身代わりを貼ったらゴースト技鋼技で攻撃してくるものが多いが、かつてはどくどくを打って交代際にシャドボを打つという今以上に厄介なポケモンであり対策枠が必要だった。

しかし、ラッキーの回復技をねむるにすることでどくどくをくらってもねむるで回復できるため、交代しなくても済む。よってどくまもギルガルドが主流の環境の間は対策枠を1枠割かずに別のポケモンを採用にできるようになった。

言わずとも1匹のポケモンの枠を開けることができれば、構築の対応幅が広がる。

前の項目と同様な結論になるが、技構成・持ち物・特性等により他のポケモンに対応できるようにならないか検討することも新規開拓の視点で必要である。

③新処理ルートの開拓

(引用元:https://almond-beginer-1500-ibaru.hatenablog.com/entry/2019/04/03/140843

f:id:todorico:20171231030422p:plain挑発+はたき落とす+ボルトチェンジ

f:id:shuk_poke:20201009231108p:plain追い討ち(威力40悪タイプ技。そのターンに相手が交代しようとしていた場合は交代前のポケモンに攻撃する。交代前のポケモンに攻撃する場合、威力が80になる。8世代では削除)

のコンボによる輝石ラッキーの処理。

 

最後にまさかの8世代では使えないルートを使用している構築を紹介する。

詳細は上記の通りであり複数のポケモンを組み合わせることにより相手が想定しない崩しが行えるということがよくわかると思う。見事すぎて7世代で一番美しい実例だと筆者は考えている。

単体においても、想定されない個体にスカーフを持たせて優劣関係を逆転させるなど、調整やアイテムによる処理ルートの開拓もここに当てはまる。

よく「○○対策をください→△△の採用はどうですか」と言った会話がなされていると思うが、単体で処理するのではなく複数で処理するという視点に立ってみると新しい型の開発につながる可能性が高い。電気ポケモン対策に地面ポケモン採用と言ったようなタイプ相性による1:1対応に囚われないポケモンの採用こそが勝ち抜くために必要な要素である。

 【終わりに】

以上になります。

ところで今までコラム記事なんて書いたことなかったのに「なんでこの記事執筆したの?」と言われたら最初に書いた通りに同じ思考を持った構築相談フレンドが欲しいのがひとつ。

もう一つにとある実況者が「初手から想定される選択肢を全て洗い出してじっくり考えよう」と言ったことに疑問を持ったからでした。(個人攻撃するつもりはないので名前は出しません)

先に書いた通りに8世代環境は事前のシュミレーションが大事な環境だと考えているので、思考機会がたくさんある構築はそれだけで不利になります。

S10超絶上振れを経験し、私自身最終日一番しんどいどころで戦わせていただきましたが、「まきびし撒いてDM切ってからやぶするだけの構築」のくせに紙一重の勝負の連続になりました。その経験から見ても対戦中の思考機会はやっぱり減らすべきだと思います。

そして、最後に7世代の私は「対戦中に頭を精一杯使って複数の勝ち筋を追いながら戦う」スイッチ構築を主に愛用していました。つまり、ここまで書いた事柄は7世代の私の構築の全否定になります

どんどん理論は更新しなければいけないと思う一方で、構築の柔軟性を追求したスイッチ構築を捨てたくないという苦悩があります。

何が果たして正しいのでしょうか。

それを探すために毎シーズンレート2000を目指してまったりやっていきたいと思います。

長くなりましたがここまで読んでいただきありがとうございました。